【ベルギーの食文化】美食の国ベルギーと日本の食文化

『フランスの繊細さ』と『ドイツのボリューム』を併せ持つ?

「美食の国」と聞いて、どこを思い浮かべるでしょうか。

多くの人はフランスやイタリアを挙げるかもしれませんが、ヨーロッパの知る人ぞ知る食の都といえばベルギーです。

ヨーロッパの西側に位置するベルギーは、西をフランス、東をドイツ、北をオランダなどに囲まれています。

そのため、「フランス料理の繊細な味付け」と「ドイツ料理の満足感あるボリューム」の双方を受け継ぎ、独自の素晴らしい食文化を発展させてきました。

今回は、そんなベルギーの食卓の魅力と、日本の食文化との面白い違いについてご紹介します。

 

 

 

 

1.人生の主役は「みんなで囲む食卓」

ベルギーの人々にとって、食事は単なる栄養補給ではありません。「美味しいものを味わい、人と心を通わせる時間」こそが人生の豊かさそのものだと考えられています。

 

・日曜日の朝は「Big Breakfast」で始まる

週末の日曜日、ベルギーの家庭では家族みんなでゆっくりと朝食をとる「Big Breakfast(ビッグ・ブレックファスト)」という習慣があります。平日の忙しさから解放され、会話を楽しみながら時間をかけて食事を堪能します。

 

・日本との違いは「外食のスタイル」

日本では一人でサクッとラーメンや定食を食べる「お一人様外食」の文化が定着していますが、ベルギーではランチであっても同僚や友人と会話を楽しみながら食べるのが一般的です。

 

2.朝は甘く、夜は温かく。ベルギーの一日の食卓

ベルギーの主食は「パン」と「じゃがいも」ですが、時間帯によって食卓の風景は大きく変わります。

 

【朝食・昼食】手軽さと「甘さ」を好むスタイル

朝食には、チョコクロワッサンや、ジャム・チョコペーストをたっぷり塗ったパンが好まれます。日本のように「朝からご飯・焼き魚・お味噌汁」といった塩気のある和食を食べる文化と比べると、朝から甘いものを楽しむ点には大きな違いがあります。

 

昼食も細長いバゲットに具材を挟んだサンドイッチ(生肉のタルタル『フィレ・アメリカン』などが人気)でスマートに済ませることが多いです。

 

【夕食】じっくり温まる家庭料理

朝や昼が手軽な分、夕食は家族で温かい料理を囲みます。

 

・カルボナード・フラマンド(牛肉のビール煮込み):水ではなく特産のベルギービールで煮込む、深いコクのあるシチュー。

 

・チコリのグラタン:少し苦みのある野菜「チコリ」にハムを巻き、ホワイトソースをかけて焼き上げた冬の定番料理。

 

3.フライドポテトの発祥はベルギー?国民的ソウルフード「フリッツ」

日本で「フライドポテト」と呼ばれる食べ物、実はベルギーが発祥であることをご存知でしょうか。ベルギーではこれを「フリッツ(Frites)」と呼び、2014年には国の無形文化遺産にも登録されています。

 

・こだわりは「2度揚げ」と「マヨネーズ」

低温と高温で2回揚げることで、外はサクサク、中はホクホクに仕上がります。ベルギー人はこれにたっぷりのマヨネーズをつけたり、ペッパーソースやピーナッツソースを添えて味わいます。

 

・街角の屋台とカーニバル

紙のコーンに入ったフリッツは、食べ歩きの定番です。特に冬に行われる有名な「バンシュのカーニバル(ユネスコ無形文化遺産)」などのイベントでは、寒空の下で熱々のフリッツやホットワインを片手に楽しむ人々で溢れかえります。

 

4.職人技が光る「チョコレート」と「ワッフル」

ベルギーを語る上で絶対に外せないのが、世界最高峰のスイーツ文化です。

 

一粒の芸術「ボンボン・ショコラ」

一口サイズのチョコの中にガナッシュやソースを閉じ込めた「ボンボンショコラ(プラリーヌ)」は、20世紀初頭にベルギーで発明されました。

ベルギーでは「一日一粒のチョコは健康に良い」とも言われ、各家庭のキッチンにも必ずチョコレートが常備されているほど生活に溶け込んでいます。厳しい基準をクリアした「王室御用達」のブランドが数多く存在するのも特徴です。

 

2種類ある?「ベルギーワッフル」

日本でもおなじみのワッフルですが、現地では大きく2種類に分かれます。

種類 特徴 食べ方

リエージュ・ワッフル

パールシュガーが入っており、外はカリッ、中はモチモチ。日本でよく見かけるタイプ。

屋台で買ったらトッピングせず、そのまま焼き立てを食べる。
ブリュッセル・ワッフル 四角い形で、生地自体は甘さ控えめ。サクサクと軽い食感。 カフェでナイフとフォークを使い、クリームやフルーツを贅沢に乗せて食べる。

どちらもイースト菌を使って生地を発酵させて作るため、アメリカ風のワッフル(ベーキングパウダーを使用)とは一味違う、奥深いモチモチ感とコクが生まれます。

 

 

おわりに:食を楽しむ姿勢を見習って

海の幸(ムール貝や白身魚)から山の幸(ジビエ)、そしてビールやスイーツまで、ベルギーの食文化はとても多様で魅力に溢れています。

 

忙しい日常の中でつい食事を「作業」として済ませがちな現代の私たちですが、「美味しいものを、大好きな人と、時間をかけて楽しむ」というベルギー人たちの豊かなスタイルから、私たちが学べることはたくさんありそうです。