タイの食文化を形づくる基本的な特徴
タイ料理と聞いて、まず思い浮かぶのは「辛い料理」というイメージかもしれません。
しかし実際のタイの食文化は、辛さだけでは語れない、甘味・辛味・酸味・塩味・旨味が巧みに組み合わさった奥深い世界です。
屋台文化に代表される手軽さと、多彩なハーブやスパイスが生み出す複雑な味わい。
今日はそんなタイの食文化の特徴や背景についてを紐解いていきます。
タイの食文化を形づくる基本的な考え方
タイの食文化の根底にあるのは、「バランス」を重視する考え方です。
タイ料理は単に辛いだけでなく、甘味・辛味・酸味・塩味・旨味が一皿の中で調和するように作られています。
どれか一つが突出するのではなく、互いを引き立て合うことで、食べ進めるほどに奥行きを感じる味わいになります。
この味のバランス感覚は、日常の食事だけでなく、屋台料理から高級レストランまで共通して見られるタイ料理の大きな特徴です。
米が主食の国
タイは平野が多く、稲作が盛んな国です。
主食はお米で、日本のお米より粒が細長く、ねばり気の少ないインディカ米が主流です。スパイスや炒め物とよく合います。
また、地域によって食べられるお米にも違いがあります。
北部や東北部では、もち米が主食として親しまれており、手で丸めておかずをつけながら食べる独自の食文化が根付いています。
タイにも日本の高級米にあたる存在があります。それがジャスミン米です。
炊くとほんのりと甘く、ココナッツを思わせるような香りが立つのが特徴で、タイを代表する最高級米として国内外で高く評価されます。
欠かせない麺料理
タイでは麺料理も日常の食生活に欠かせません。
麺の種類は、細麺のセンミ―、中太麺のセンレック、平たい太麺のセンヤイ、卵と小麦粉から作る黄色い麺のバミーの4種類があります。
調理法は、スープあり・なし、炒め、あんかけなどがあり、シーフードや肉、野菜などの具材を組み合わせます
最初に麺の種類を選び、次に具材を選ぶのが一般的です。
「甘・辛・酸・塩」味のバランスの秘密
タイ料理に欠かせない調味料がナンプラーです。
ナンプラーは魚を発酵させて作る魚醤で、独特の香りと深い旨味があり、スープや炒め物など多くの料理の味の土台となっています。使う料理によって風味が大きく変わるため、料理ごとに細かく調整されます。
また、タイのレストランや屋台では、砂糖、唐辛子入りのお酢、粉唐辛子、ナンプラーの4点セット「クルアン・ブルン」がテーブルに置かれているのが一般的です。タイの人々は料理をそのまま食べるのではなく、甘味・辛味・酸味・塩味のバランスを考えながら、自分の好みに合わせて味を整えて食事を楽しみます。
ハーブとスパイスが生み出すタイの料理の香り
タイ料理では、さまざまなハーブが味や香りを引き立てるために使われています。中でもパクチーは代表的なハーブで、独特の香りが料理のアクセントになります。昔からタイ医学の考え方の中でも用いられ、食欲を増進させる働きがあるとされています。
また、唐辛子は辛味だけでなく、発汗や血行を促す効果があるとされ、暑い気候の中での食事に欠かせない存在です。
クンチャイというセロリは、貧血に効果があるとされています。
さらに、「トムヤムクン」にはレモングラス、「ガパオライス」にはガパオ(ホーリーバジル)が使われるなど、料理ごとに適したハーブが選ばれています。
このように、タイ料理ではハーブを香りづけだけでなく、体調を整える役割としても取り入れられてきました。
油を使う料理が多くても重く感じにくいのは、こうしたハーブの力によるところが大きいといえるでしょう。
みんなで分け合うタイ式の食事スタイル
タイの家庭やレストランでは、複数の料理を中央に並べ、皆で分け合う食事スタイルが一般的です。
1人一品を完食するのではなく、さまざまな料理を少しずつ味わうことが好まれます。
この文化には、「食事は楽しむもの」「一緒に食べる時間を大切にする」という価値観が表れています。
食卓はコミュニケーションの場であり、人とのつながりを深める大切な時間でもあります。
まとめ
タイの食文化は、辛さだけで語れるものではなく、甘味・辛味・酸味・塩味・旨味のバランスを大切にする考え方や、屋台文化、ハーブ活用、分け合って食べる習慣など、暮らしに根ざした知恵の積み重ねによって形づくられてきました。
一皿の料理には、気候や歴史、人々の価値観が詰まっています。
食を通してタイの文化に触れることで、この国の人々の暮らしや考え方を、より身近に感じられることができるでしょう!