イギリスの食文化 Part1

紅茶から始まるイギリスの食卓

イギリス料理と聞くと、どこか「質素」「地味」といったイメージを思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、その印象だけでイギリスの食文化を語ってしまうのは、少し早計です。

海と牧草地に囲まれた自然環境、長い歴史の中で育まれた家庭料理、そして紅茶を中心とした独自の食習慣。さらに、植民地時代の影響を受けた多国籍な味わいも、現代のイギリスの食卓には欠かせない要素となっています。

派手さはなくとも、素材を大切にし、暮らしに寄り添って発展してきたイギリスの食文化。
その特徴をひもといていくと、国民性や歴史が静かに浮かび上がってくるのです。

 

 

 

 

イギリスの食文化

イギリスは四方を海に囲まれた国で、タラをはじめとする新鮮な魚介類に恵まれています。さらに、国土の約半分が牧草地という環境から、牛や羊などの肉類、そして乳製品も豊富に生産されています。

こうした自然条件を背景に、「ローストビーフ」や「フィッシュ&チップス」 といった、素材そのもの生かした料理がイギリスの伝統食として親しまれてきました。

かつては「イギリス人は衣食住の中で食に最も関心が薄い」と言われることもありました。しかし近年では状況が変わり、食材の質や産地を意識する人が増えています。オーガニック食品を選んだり、環境に配慮した生活を心がけたりするなど、健康志向も食文化へと進化しているのが現在のイギリスです。

また、かつての植民地との関係から、インド料理や中華料理が生活に深く根付いているのも特徴です。

街中にはこれらのレストランが多く、特にカレーは「国民食」呼ばれるほど日常的に食べられています。

 

紅茶と共にある暮らし

イギリスは「紅茶の国」としても知られています。朝のモーニングティーに始まり、午後のアフタヌンティーやクリームティーなど、1日の中に何度もお葉を楽しむ時間があります。

中でも有名なのが、3段トレイにサンドイッチやスコーン、ケーキを並べて紅茶を味わうアフタヌンティーです。日本でも人気なこの習慣は、夕方から始まる演劇やコンサートの前に、軽く腹ごしらえをする目的で広まったとも言われています。

アフタヌーンティーに欠かせないお菓子には、外は香ばしく中はしっとりとしたスコーンや、サクサク食感のショートブレッドがあります。スコーンは、ジャムと南西イングランド生まれのクロテッドクリームをたっぷり添えて食べるのが定番です。

 

イギリスの伝統料理

イギリス料理の代表格であるローストビーフは、西洋ワサビ(ホースラディッシュ)を添えて食べるのが一般的です。付け合わせには、ヨークシャープディングやマッシュポテト、ローストポテトにグレイビーソースをかけたものが並びます。日曜日にロースト料理を楽しむ習慣から、「サンデーロースト」と呼ばれることもあります。

フィッシュ&チップスもおなじみの料理ですが、イギリスでいう「チップス」は太めのフライドポテトの事。揚げた白身魚にモルトビネガーをかけて食べるのが、現地流の楽しみ方です。なお、日本でいうポテトチップスは、イギリスでは「クリスプス」と呼ばれてます。

 

チーズ大国

イギリスでは700種類以上ものチーズが作られており、実はヨーロッパ有数のチーズ大国でもあります。

中でも有名なのが、世界中で親しまれているチェダーチーズです。

また、フランスのロック・フォール、イタリアのゴルゴンゾーラと並び、世界三大ブルーチーズの一つに数えられるスティルトンも、イギリス生まれのチーズです。

 

主食

イギリスの食文化には、日本のような「主食」という明確な考え方があまりありません。
ジャガイモやパンはよく食べられますが、必ず毎食の中心になるわけではなく、料理の一部として楽しまれています。
朝はトーストやシリアル、昼はサンドイッチ、夜は肉や魚を主役に野菜を添える食事が一般的で、特定の主食に依存しない食事スタイルが特徴です。